政府の原発最大限活用の方針転換の理由は?いつから?電気料金が安くなるのか?

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2022年12月22日に開催されたGX(グリーントランスフォーメーション)実行会議で、政府は廃止原子炉の建て替え、原子炉の運転期間の延長などの原発活用方針を出しました。

「脱原発」の流れにあった原子力政策は、既存原発の最大限活用の方針に転換した。

政府の原発最大限活用の方針転換の理由について調べました。

政府の原発最大限活用の方針転換の理由は?いつから?

ロシアのウクライナ侵攻の影響によりエネルギー需要がひっ迫し、電力を安定供給する観点から政府は原発が必要と判断しました。

電源構成中の原子力の比率
2021年度 約7%
2030年度目標 20~22%

2021年度の約7%を2030年度に20~22%にするためには停止している原発の再稼働を急ぐ必要がある。

原発を持続的に活用するためには廃止炉の次世代革新炉への建て替えを進める。

原子炉の運転期間は原則40年、最長60年としていたが一定の停止期間を除外して延長させる。

岸田文雄首相は「政策を加速していくためには、国民や地域の信頼を積み上げていく地道な取り組みが不可欠だ」と語りました。

国内の36基の原発の内、福島の事故後に再稼働した原発は10基です。
美浜3号、大飯3号、4号、高浜3号、4号、玄海3号、4号、川内1号、2号、伊方3号

原子力規制委員会の審査に合格しながら稼働できていない原発7基は2023年夏以降の再稼働を目指しています。
女川2号、東海第二、柏崎刈羽6号、7号、高浜1号、2号、島根2号

女川2号機、高浜1号、2号、島根2号の4基は地元の合意を得ています。

2021年に政府が閣議決定したエネルギー基本計画で、2030年度の原発の電源構成比率を20~22%にしました。

電源構成比率を20~22%にするためには原発20基以上を稼働させる必要がある。

原発活用の方針転換の理由1.火力発電に依存できない

福島の事故以降、電力を火力発電に頼ってきた。採算の悪い火力発電所を休止・廃止していて火力発電の供給力が低下している。

老朽化して廃止予定の火力発電所を再稼働させ、電力を供給し綱渡りの状況です。

脱炭素化が叫ばれ、廃止する方向にある火力発電を新規に建設すると無駄になる可能性がある。

脱炭素の原発の最大限活用に向かう方が合理的です。

原発活用の方針転換の理由2.ロシアのウクライナ侵攻の長期化により天然ガスの需給がひっ迫する。

資源大国ロシアは世界最大の天然ガス輸出国で、ウクライナ侵攻により天然ガスが輸入しにくくなっている。

ロシアが天然ガスの供給を絞ったことで天然ガスの取り合いになり天然ガスの価格が上昇した。

岸田首相は「電力需給ひっ迫と言う足元の危機克服のため、今後数年間を見据え、あらゆる政策を総動員して不測の事態に備えていく」と語りました。

脱炭素に向けた取り組みを進めるためにも原発の活用が不可欠です。

原発活用の方針転換の理由3.次世代原子炉の開発が進んでいる。

日本電機工業会の調査で、原子力産業従事者が2011年の1万3582人から2020年度の1万153人へ25%減少している。

原発の新増設が行われないと、人材が流出する。原発新増設の検討が必要と言われています。

次世代原子炉の開発が進んでいます。岸田文雄首相は次世代型の原発について開発・建設を指示しています。

次世代型の原発は従来の原発より安全性が高く効率よく発電できます。

政府が検討している革新軽水炉は最も開発が進んでいて、三菱重工が開発を進めています。

三菱重工と関西・九州・北海道・四国の電力会社4社は次世代型の原子炉を共同で開発し2030年代の実用化を目指すと発表しました。

松野官房長官は「次世代革新炉の開発や建設などの論点について、岸田総理大臣からの検討の指示を踏まえ、現在、経済産業省の審議会などで議論が行われている。関係省庁は研究開発の動向も踏まえつつしっかり検討を進めてもらいたい」と述べました。

超高温原子炉も開発されていて、原子炉の冷却にヘリウムガスを用いて高温の熱を取り出し、熱の有効利用や水素の製造などが行えます。

イギリス政府が進める高温ガス炉の開発計画に日本原子力研究開発機構が参画することになりました。2030年代はじめに実証炉の運転開始を目指しています。

電気料金が安くなるのか?

原発の再稼働によりすぐに電気料金が下がるわけではありません。

大手電力会社の電気料金は原発稼働を前提に電気料金を算出しています。

電力関係者は1キロワット発電するのに原子力は1円、石油火力は10円程度の燃料費コストがかかると話しています。

原発が電源構成比率を20~22%を占めるようになれば電気料金はかなり安くなると期待されています。

まとめ

今回は政府が原発を最大限活用すると発表したことについて調べました。

次世代型の原発が開発中で、安全性に優れていることが分かりました。

安全な次世代型の原発が開発され、電気料金が安くなることを祈っています。

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