旧統一教会被害者救済新法と改正消費者契約法が、2022年12月10日の参院本会議で可決され成立しました。
旧統一教会被害者救済新法は自民党、公明党、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党が賛成し、共産党とれいわ新選組が反対した。
旧統一教会被害者救済新法の内容、違反時の罰則について調べました。
旧統一教会被害者救済新法の内容の詳細は?違反時の罰則は?
旧統一教会に関して悪質な勧誘による高額な寄付などで家庭が困窮し崩壊した事例が報告されている。
悪質な寄付による被害の拡大を防止し救済するために、寄付に関する法案や関連する改正案が国会で成立しました。
旧統一教会被害者救済新法の名称は「法人等による寄付の不当な勧誘の防止等に関する法律」です。
消費者庁が設置した有識者検討会からの10月の報告書をベースにして法案化しました。法案は閣議決定後に野党の要望を入れて修正し提出されました。
岸田文雄首相は記者会見で「被害者がこの制度を利用しやすい環境を早急に整備することに全力を傾ける。必要な政府支援を迅速に行い、新たな制度をしっかり運用したい」と今後の方針を説明しました。
公明党の山口代表は「新たな被害が生じないようにこれを抑止する、防止すると、 そういう効果が出るように、関係者がこぞって努力するということが大事だと思います」と述べました。
旧統一教会被害者救済新法の内容について
旧統一教会被害者救済新法は、法人からの不当な寄付の勧誘から保護することを目的にしています。
寄付を勧誘する際に、不当な勧誘行為によって個人を困惑させてはならないと定めました
不当な勧誘行為とは?
不当な勧誘行為とは、不退去(帰らない)、退去妨害(帰らしてくれない)、退去困難場所への同行、威迫する言動、恋愛感情、霊感などを用いた勧誘を含みます。
被害者救済新法は、寄付のために個人に借金させたり、自宅や土地などを売らせたりして寄付資金の調達を要求してはならないと定めました。
寄付の勧誘を行う法人に配慮義務が科されています。
配慮義務とは
自由な意思を抑圧し適切な判断が困難な状態にしないこと(マインドコントロールを念頭に置いている)、
寄付者や配偶者親族の生活の維持を困難にしないこと、
寄付される財産の使途を誤認させないこと
などを指します。
配慮義務を怠った場合は行政が勧告し、従わなければ法人名を公表します。
違反時の罰則は?
行政の勧告・命令に従わなかった場合に罰則があります。
罰則として1年以下の懲役か100万円以下の罰金が科される。
法案施行後2年をめどに法律の見直しを検討します。有識者による検討会も設置します。
救済できるのか?
被害者救済のため、不当な勧誘行為による寄付の取り消しや宗教2世や家族の救済も定められた。
被害者は救済されるか?
被害者救済のために、不当な勧誘行為により寄付した場合に寄付を取り消すことができます。
全国霊感商法対策弁護士連絡会は12月10日に成立した霊感商法などの被害者救済法について東京都内で会見しました。
弁護士連絡会は法律の成立に対し「家族問題、2世問題の様々な被害実態に対処するためにも被害者や関係者の声を聞き、それを適切に分析して、法的支援に留まらず様々な角度からの支援や新たな実効的な法制度の創設が行われるよう速やかに対処すべきである」とコメントしました。
弁護士連絡会の阿部弁護士は「被害者の声を聞く時間、量、実態の把握が圧倒的に少なかった。政府与党には被害者の声を1人でも多く聞いていただきたい」と被害者からの聞き取りを要望しています。
旧統一教会被害者を救済できるかどうかは、今後の救済新法の運用にかかっている。
どういう場合に寄付が取り消せるか?
不当な勧誘行為で寄付の勧誘を受け寄付した場合は寄付を取り消せる取消権が定められた。
取消権が行使できる期間は、不当な勧誘行為(霊感商法など)の場合に被害に気付いたときから3年または寄付した時から10年です。
消費者契約法の改正案で、霊感商法などの被害を気付いた時から3年、契約の締結から10年にしたので、過去の寄付についても対応できるようになりました。
それ以外の勧誘の場合の取消権は、気付いた時から1年または寄付した時から5年です。
宗教2世や家族は救済されるか?
寄付者本人が寄付を取り消さなくても、宗教2世や配偶者に一定の取消権を認め、養育費を取り戻せるようにしました。
宗教2世の夏野なな(仮名)さんは「新法成立をもって宗教2世問題が解決したと考えないでください」と話しました。
まだ被害者の声や被害実態が把握しきれていないという意見が多く出ています。
被害者の相談先は?
旧統一教会に関連することや法律的なことは「法テラス」へ相談できます。
法テラスの相談窓口「霊感商法等対応ダイアル」の電話番号は0120-005-931です。平日午前9時30分から午後5時まで受け付けています。
最寄りの消費生活センターへつながる「消費生活ホットライン(188)」も相談に対応します。
まとめ
今回は国会で成立した旧統一教会被害者救済新法について調べました。
旧統一教会被害者救済新法が成立して終わりでなく、今後の運用に注目が集まっています。
新法が機能して新たな被害者が出なくなり、過去の被害者が救済されることを祈っています。
コメント