ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、2022年9月11日のビデオ演説で、ロシア軍が占領し軍事拠点にしていた東部ハルキウ州のイジウムなどを奪還したと宣言した。
ロシア軍は、報復としてハルキウ州の火力発電所など重要施設を攻撃し大規模停電を起こした。
ロシアウクライナ侵攻の現状について調べました。
ロシアウクライナ侵攻の現状は?
ウクライナ軍のワレリー・ザルジニー総司令官は、9月11日、ウクライナ軍がハルキウ州でロシア軍から「3000平方キロメートル以上を奪還した」と宣言した。この面積は東京都の1.4倍に相当する。
ロシア軍はルハンスク州北西部の集落を放棄し、ウクライナ軍の攻勢がルハンスク州に及んでいる。
ロシア国防省は、9月10日、ハルキウ州の要衝イジウムから部隊を「再配置」したと発表し、計画的な撤退と主張している。
米政策研究機関「戦争研究所」はロシア軍の敗走だと指摘し、ロシア軍にとって首都キーウ周辺からの撤退に匹敵する「痛手」と語っている。
ウクライナ北東部・ハルキウ州でのウクライナ軍による反転攻勢について、親ロ派幹部は、9月12日、「相手(ウクライナ軍)は8倍の勢力だった」と敗走の理由を語った。
ハルキウ州の親ロ派幹部は「(ウクライナ側は)ロシア軍をおよそ8倍上回る勢力だった。ロシアは兵士を守るために撤退し再編成を決定したと思う」と述べた。ロシア軍は要衝イジウム周辺から、ウクライナ軍の攻撃に耐えられず撤退し、再編成を目論んでいる。
チェチェン共和国のカデイロフ首長は、「作戦に間違いがあった」とロシア軍の作戦を批判している。
ウクライナ南部においても、ウクライナ軍の報道官が9月12日、南部の5つの集落の名前を挙げて「過去2週間でおよそ500平方キロメートルを奪還した」と反転攻勢の成果を報告した。
ロシア軍の状況
8月25日、ロシアのウラジミール・プーチン大統領が、ロシア軍の人員を13万7000人増員する大統領令に署名した。
現在のロシア軍の規模は軍人100万人強、軍属約90万人に設定されているが、今回の大統領令により軍人115万人超に増員した。
欧米当局の調査では、ウクライナ侵攻によりロシア兵7~8万人が死傷している。志願兵担当者が各地の刑務所で、受刑者に釈放と金銭を約束して軍人契約者を求めている。
ロシア軍は人員を確保するため、志願兵に大金の報酬を提示し、土地や子供の学校に関連した特別待遇を約束している。
ジャーナリストのロマン・ドブロコトフ氏は「勝利へ向かう戦争に必要なタイプの兵士とは言えない。ロシア政府はなお、量が質に勝ることを期待している。借金を抱えてやけになった何十万人もの人々を捕まえて、紛争地域に放り込めばいいと思っている」と批判している。
一部では月額約76万円という高条件が示されているが、ドブロコトフ氏は「誰も実際にこの金を見ていない。ウクライナから戻ってきた人々は今、自分たちがいかにだまされたかをジャーナリストに語っている。このことが政府への信頼を損ね、現状にも影響を及ぼしている。なので、この戦略が成功するとは思えない」と語っている。
軍事アナリストのバヴェル・ルツィン氏は「政府にとっての問題は、ほとんどのロシア人がプーチンのため、あるいは 『偉大なる帝国 』の復活のために死のうとしていない点だ。戦争に対する市民の総意がないため、現状では募集は不可能だ」というロシア側に対して、「一方のウクライナでは、国民に戦う準備ができている」と、ロシアウクライナ侵略の問題点を指摘した。
戦争いつ停戦する?
米軍トップのマーク・ミリー統合参謀本部議長は、ドイツで記者会見し、ウクライナ軍が高機動ロケット砲システム(HIMARS)で、ロシア軍の補給路と弾薬供給拠点など400箇所以上の標的を攻撃したと明らかにした。
ウクライナ軍がロシア軍に壊滅的な打撃を与え、戦闘能力に壊滅的なダメージを与えている。
ロシアのウクライナ侵略に関して、「いつまで続くのか?」「停戦は出来ないのか?」という疑問について語られている。
外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦氏によれば、ロシアのウクライナ侵略は2014年のクリミア併合から始まっていて8年間続いている。
停戦は戦争当事者が「負けそうだな」と思ったときにできる。しかし、現在はプーチンもゼレンスキーも負けるつもりはなく、両者とも勝っているつもりであり停戦しそうにない。
今の段階で停戦について考えられない。特に、ゼレンスキーはウクライナ軍が領土を奪還しているときに停戦すると英雄から裏切り者になってしまう。
ゼレンスキー大統領は停戦の条件を「(ロシア軍の撤退ラインは)クリミア半島を含むウクライナ全領土」にしていて、その理由として「そうしなければ、半年後か1年後にまたロシアは口実を作って戦争を起こす」と語っている。
ロシアは資源があり、核兵器ももっているので戦争を続けることが可能で、仲介国として、トルコ、イスラエル、中国、国連が出てきてもロシアに停戦させるのは難しい。
ロシアでクーデターが発生するとか、プーチンが失脚するとかが起こらないかぎり、戦争は年単位で続くと言われる。
まとめ
今回はロシアのウクライナ侵略の現状と停戦について調べました。
ウクライナが反転攻勢して領土を奪還していますが、ロシアを追い出すまでには時間がかかることが分かりました。ロシアとウクライナが納得して、停戦するまでには時間がかかりそうです。
ロシアのウクライナ侵略が早期に終わることを祈っています。
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