暴言により、明石市議会で問責決議案が可決された兵庫県明石市の泉房穂市長が、来年4月末の任期満了で退任し、政治家から引退すると表明した。
明石泉市長政治家引退の理由について調べました。
明石市泉市長政治家引退の理由は?
明石市の泉市長の問責決議案は、市が提出した金券配布事業や議員が提出した工場の緑地面積率を変更する条例案などで、泉市長が明石市議に暴言を繰り返し、「(泉市長の言動が)相反する考えを排除して危険で不適切」として提出された。
問責決議案の理由1.全市民への金券配布における泉市長の独裁的な行為
2021年8月、全市民への金券配布では、市議会が経費節減のため、議案の「継続審査」を決めた。
泉市長は、議会の決定に反して、例外的に市長が議会の議決に代わって決定する「専決処分」を用いて、全市民へ金券配布を行った。
この「専決処分」を、明石市議会は「議会制民主主義の否定」「独裁的な行為」として問責決議を行った。
問責決議案の理由2.議員が提出した工場の緑地面積率を変更する条例案に関して議会と泉市長の対立
明石市議会の主要会派が提出し、2021年12月議会で成立した「工場の緑地面積率引き下げ条例」について、泉市長が議決のやり直しを求めて再議を申し立てた。
泉市長は「パブリックコメント(意見公募)など必要な手続きを経ておらず、憲法や市自治基本条例に違反している」と主張し反対した。
12月議会で成立した条例は「市内工場の緑地面積率を20%から5~10%」に引き下げた
泉市長は2年前に「緑地面積率のあり方を議論する検討会」を設置していた。「(議員提出の条例は)検討会が終わるのを待たず、パブコメもしていない。手続きに不備がある」と泉市長が反対した。
泉市長と議会の主要会派の対立は、全市民への金券配布から始まった。工場の緑地面積率でも意見が合わず対立が激化して、問責決議案の提出になった。
問責決議案とは?
問責決議案は、議会で閣僚や首長などの責任を問う意思を示す議決で、可決されても議会の解散や辞職などを求める法的拘束力はない。
泉市長が政治家引退する理由
10月12日の本会議後の会見で、泉市長は「就任以来、積もりに積もった思いがプチンと切れて、手当たり次第、暴言を吐いた。『今後しない』と言っても人は信じないし、私自身も自信がない」と、今後も暴言を吐く恐れがあるので、政治家を引退すると説明した。
2021年夏の、全市民への金券配布で市長と市議会の意見が異なり、市議会との対立が深まった。泉市長は「これ以上の政策展開は難しかった」と市議会との協調が難しいことを認めた。
泉市長は「(今後は)政治のプレーヤーから政治家を育成する側に立場を変え、全国を飛び回って明石での経験を伝える。政党立ち上げも選択肢の一つ」と、政党立ち上げに意欲を示している。
泉市長は、明石市政については、市長選や市議選などで意中の候補の応援に回るとの考えを持っている。
泉房穂市長のプロフィール
泉房穂(いずみ ふさほ)氏は1963年8月19日生まれ、兵庫県明石市二見町出身、東京大学教育学部教育学科教育哲学・教育史コース卒業、元NHK職員、元テレビ朝日社員、司法試験に合格し弁護士、明石市長です。
2003年第43回衆議院議員総選挙に民主党公認で兵庫県第2区から出馬し落ちたが、比例近畿ブロックで復活し初当選した。
2011年4月明石市長選挙に出馬し初当選した。2015年4月明石市長選挙で再選。2019年2月、暴言の責任をとり辞職。2019年3月出直し選挙で3回目の当選を果たした。
職員への暴言の内容とは?
泉市長の暴言1.「建物に火をつけて捕まってこい」
2017年6月、明石駅の南にある明石駅前交差点の道路の拡幅工事を巡り立ち退き交渉が遅れたことで、市の担当職員に「建物に火をつけて捕まってこい、お前。損害賠償は個人で負え」「責任取ってもらう。辞表出しても許さん」などと暴言を吐いた。
2010年に国交省・近畿地方整備局が拡幅工事を決定し、2012年に明石市が用地買収に着手した。用地買収が36筆、物件補償が27件あった。
条件面で折り合わず、所有者が立ち退きに応じないビルが1棟残っていたため、上記の暴言になった。
この暴言で、泉市長は責任を取って辞職した。そのとき、泉市長は「街のイメージを損なったことに対して、明石市民に対して、市長として本当に申し訳ないと…」と、反省していた。
しかし、その後の出直し選挙で圧勝し、独裁的になっていった。
泉市長の暴言2.「お前ら不動産会社から金もうてんのか」
2022年3月末、2人の副市長が任期途中で退任した。
退任した宮脇前副市長に聞くと、明石市が不動産会社から買収したJR大久保駅南側の土地買収の過程で、不動産会社と交渉していた職員を泉市長が侮辱した。
宮脇俊夫前副市長は「市長が(交渉担当の)総務局長と弁護士課長に『お前ら不動産会社から金もうてんのか』と言ったんです。私はその一言だけは今でも許せない」と怒っている。
さらに宮脇前副市長は「(泉市長は)『人は金と地位と恐怖でしか動かない』と言う。『特に職員は恐怖で…』と言っていますから」と、泉市長の考え方に不満を持っている。
泉市長の暴言3.「問責なんか出しやがって、ふざけとるんか」
問責決議案が提出されることが決まった2022年10月に次のような暴言を吐いた。
明石議会の榎本和夫議長が「『問責なんか出しやがって。ふざけとるんか』と、『お前ら議員なんかみんな落としてやる』と、そういうふうなことを言われまして。30万都市のリーダーたるべき方が発せられる言葉ではないというふうに思いますね」と証言している。
まとめ
今回は暴言を吐いたとして、明石議会で問責決議案が可決した泉房穂明石市長について調べました。
泉房穂市長は、2023年4月の任期満了で政界を引退することが分かりました。今後の活躍を祈っています。
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